賃貸経営における、家賃は収益の大きな要素を占めます。しかし、家賃は建物の経年劣化や地域の需給バランスなどの影響を受け、変動する可能性があります。特に、10年後に家賃が下がる可能性がある物件について理解しておくことは、賃貸経営者にとって重要です。
この記事では、マンションの家賃が下がる特徴や家賃下落率について簡単に解説していきます。具体的には、新築物件と経年した物件の家賃動向、家賃が決まる要因、経年による家賃の下げ圧力の段階、10年後に家賃が下がる・上がる物件の特徴などに焦点を当てて解説します。
「賃料はどう決まる?」
賃料は、大家や不動産会社が様々な要素を総合的に考慮して決定されます。以下に、賃料が決まる際に考慮される主な要素を解説します。
・築年数
建物の経年劣化が進むにつれて、修繕やメンテナンスの必要性が増すため、賃料の下落圧力が増加します。新築物件は築年数が浅く、メンテナンスコストが少ないため、賃料が比較的高く設定される傾向があります。
・構造
建物の構造や耐久性は賃料に大きな影響を与えます。しっかりとした建築構造や耐震性が高い建物は、入居者に安心感を与えるため、賃料が高く設定されることがあります。
・立地
駅の近さや周辺施設の充実度など、立地条件は賃料に直結します。交通の利便性や生活環境の良さが高い場所では、需要が高まり、それに伴って賃料も上昇します。
・間取り
部屋の広さや使い勝手も賃料に影響を与えます。家族向けの広い間取りや、収納スペースが充実している物件は、需要が高まるため、賃料が高く設定される傾向があります。
・設備
エアコンやインターネットの有無、セキュリティ設備の充実度など、設備のレベルも賃料に反映されます。設備が充実している物件は、入居者の利便性が高まるため、賃料が上昇することがあります。
・周辺の相場
同じ地域の他の物件の賃料相場も、賃料決定の参考になります。周辺の物件の賃料相場が高い場合、自身の物件の賃料もそれに合わせて設定されることが一般的です。
立地条件が良く、設備が整った物件は需要が高まり、それに応じて賃料も上昇します。逆に、立地条件が悪く、設備が不十分な物件は需要が低くなり、賃料も下落する傾向があります。これらの要素を総合的に考慮して、適切な賃料設定が行われます。
「経年で家賃にどのような変化が現れる?」
賃貸マンションの経年による賃料下落率は、年率換算で平均約1%と言われています。建物が経年するにつれて、さまざまな要因が賃料に影響を与えます。以下では、経年による賃料の変化を3つの段階に分けて詳しく説明します。
第1段階:築3年~10年
築浅物件は他の新築物件との競合にさらされるため、この期間は賃料の下げ圧力が大きいです。入居者は新築物件を好む傾向があり、築浅の物件が競争力を維持するためには、賃料を下げる必要があります。そのため、築3年から築10年までの間は賃料が比較的速く下落する期間と言えます。
第2段階:築11年~20年
築年数が11年から20年になると、築浅物件との競争が緩和され、賃料の下げ圧力が低下します。建物の経年劣化や老朽化が進んでいるため、新築物件との比較が難しくなります。そのため、この期間は賃料の下げ圧力が緩和され、賃料の変化が比較的緩やかになります。
第3段階:築21年以降
築21年以降は、特に小規模な物件では賃料の下げ圧力が解消されつつあります。建物の老朽化が進行し、新築物件との競争がさらに難しくなるため、賃料の下落圧力がさらに低下します。特に、シングル向けの小規模な物件では、経年による下げ圧力がほぼ解消されつつあります。
以上のように、築年数が増すにつれて賃料の下げ圧力は緩和されていきます。建物の老朽化や競合物件との関係が変化することで、賃料の変動も影響を受けます。
「10年後に家賃が下がる・上がる物件の特徴」
賃料の維持や上昇を目指すためには、借り手のニーズを理解し、付加価値を提供する必要があります。具体的には、以下の特徴が賃料の動向に影響を与える要素となります。
・セキュリティ設備の重要性
女性を中心にセキュリティに対する高い関心があります。そのため、オートロックやセキュリティカメラなどのセキュリティ設備が整った物件は、賃料が維持されやすくなります。特に、女性向けの物件ではセキュリティ面の充実が重要な差別化要因となります。
・立地条件と周辺環境の重要性
需要の高いエリアや生活施設に近い物件は、賃料が高くなる傾向があります。駅や交通アクセスの良さ、買い物施設や公共施設の近さなど、生活の利便性が高い場所に位置する物件は、賃料の上昇につながります。
・改善とメンテナンスの重要性
賃料を維持するためには、入居者のニーズに合わせた改善やメンテナンスが欠かせません。建物全体の外観や共用部の設備、室内の設備などを充実させることで、競合物件との差別化を図り、賃料の維持に努めることが重要です。外壁の塗装や共用施設のリニューアル、室内の設備の更新など、賃貸物件の付加価値を高める改善が賃料の維持につながります。
まとめ
様々な要素を考慮しながら、10年後も賃料を維持できるような工夫やアイデアを採用することが、賃貸経営の成功につながります。経年劣化に伴う賃料の下落圧力に対抗するために、入居者のニーズを満たし、物件価値を向上させていくことが必要です。