マンションを購入する際、気になるのはやはり「この先何年住み続けられるのか」ということです。マンションの寿命や耐用年数を知ることは、将来の安定した生活を確保するために不可欠です。この記事では、マンションの耐用年数や寿命について詳しく解説していきます。
【マンションの耐用年数とは?】
マンションの耐用年数とは、その建物がどのくらいの期間使用できるのかを示す年数のことです。一般的には、次の3つの考え方があります。
~物理的耐用年数~
物理的耐用年数とは、建物が建てられてから劣化して使えなくなるまでの時間を指します。
例えば、建物の屋根や壁がひび割れたり、配管が錆びたりして、修理や交換が必要になるときが来ます。
これは、年月が経つにつれて自然なことで、建物の老化とも言えます。
~法定耐用年数~
法定耐用年数は、法律や規制によって定められた建物の価値を評価するための期間です。
通常、建物が建てられた時点から一定の年数が経過すると、その建物の価値がゼロになると見なされます。
これは、建物の価値が法的に認められた期間であり、一般的には税金などの評価に使われます。
~経済的残存耐用年数~
経済的残存耐用年数は、建物の不動産的価値がなくなるまでの期間を示します。
つまり、建物の修理や維持にかかる費用が建物の価値を上回るようになるまでの時間です。
この期間が過ぎると、建物を維持することが費用対効果の面で合理的でなくなります。
次のセクションでは、マンションの耐用年数の決まり方や重要性について詳しく解説します。また、耐用年数を超えた物件や寿命を迎えた物件の対処法についても紹介します。
【耐用年数の決まり方】
マンションの耐用年数は、法的基準がある一方で、物理的な劣化や経済的な価値の残存に関しては明確な基準がありません。一般的には、建物の利用状況や修繕状況に応じて耐用年数が変化するため、個別の調査が必要です。
【耐用年数の計算方法】
実際にマンションを使用できる年数を求める場合、一般的な計算方法は以下のとおりです:「使用年数 + 残存年数 = 耐用年数」です。残存年数とは、専門の不動産鑑定士が物件の状況を調査して判断します。
【耐用年数の期間】
一般的に、鉄筋コンクリートの建物は物理的には100年以上もつとされていますが、実際には40年程度で建て替えが行われることが多いです。これは単に老朽化だけでなく、耐震性の問題も影響しています。近年では、1981年の新耐震基準以降に建てられたマンションは、適切な管理とメンテナンスが行われていれば、40年を超えて住み続けることが可能とされています。
【法定耐用年数とは?】
法定耐用年数とは、税法上でマンションの価値がゼロになるまでの年数を指します。例えば、鉄筋コンクリートで作られたマンションの場合、法定耐用年数は47年と定められています。
法定耐用年数は、あくまで税法上の減価償却の計算に用いる基準ですので、法定耐用年数を超えたからといってマンションに住めなくなるわけではありません。法的耐用年数と、物理的なマンションの寿命は全く異なり、多くのマンションでは法的耐用年数を越えても住み続けることは可能な為、注意が必要です。
【マンションの寿命を決める要因】
マンションの寿命を決める要因は、主に以下の4つが挙げられます。
・耐震性
地震が頻繁に発生する日本では、マンションの耐震性が寿命に大きく関与します。1981年に制定された新耐震基準では、耐震性が大幅に向上しましたが、それ以前の建築物は耐震性に難があります。このため、古い建物は現行の基準を満たすように建て替えられることがあります。
・メンテナンス
マンションの寿命には、適切なメンテナンスも大きく影響します。近年の建築物は定期的なメンテナンスが行われていますが、古い建物は十分なメンテナンスが行われていない場合があります。これにより、建物の劣化が進み、寿命が短くなる可能性があります。
・建材
使用されている建材の品質や耐久性も寿命に影響します。特に、コンクリートの品質は重要です。水の比率や鉄筋の包み厚などが寿命に影響を与えます。建築技術の進歩により、新しい建材はより耐久性が高くなっています。
・立地
マンションの建てられた場所や周囲の環境も寿命に影響します。例えば、海岸付近では塩害が問題になり、日当たりの悪い場所ではカビや劣化が進みやすくなります。立地条件が異なれば、同じ建物でも寿命が異なる可能性があります。
以上の要因が組み合わさり、マンションの寿命が決定されます。それぞれの要因を考慮し、適切な管理とメンテナンスが行われることで、マンションの寿命を延ばすことが可能です。
【耐用年数を超えた物件や寿命を迎えた物件の対処法】
所有者が耐用年数を超えた物件や寿命を迎えた物件に直面した場合、以下の選択肢があります。それぞれの選択肢には利点と欠点があり、所有者にとって最適な選択をすることが重要です。
・建て替えをする
寿命を迎えた物件を建て替えることは、一つの選択肢です。ただし、建て替えには所有者の5分の4以上の賛成が必要であり、膨大な費用がかかります。そのため、所有者の賛同を得るのは容易ではない場合があります。
・物件を売却する
物件を売却することも選択肢の一つです。不動産開発業者に売却する場合、所有者は売却益を受け取り、引っ越しをすることになります。ただし、不動産開発業者はマンションを解体し、新しい建物を建設するため、売却費用から解体費用が差し引かれます。その結果、売却益が予想よりも少なくなる可能性があります。
・土地を売却する
マンションを解体して更地にし、土地を売却することも考えられます。この場合、所有者は土地を売却する前に引っ越しをする必要があります。ただし、マンションの解体費を売却費から差し引かなければならないため、売却益が期待したほど得られない可能性があります。
以上の選択肢から、所有者は自身の状況やニーズに合わせて最適な行動を選択することが重要です。
まとめ
マンションの耐用年数や寿命を理解することは、将来の安定した生活を確保するために不可欠です。マンションの購入を考えている方は是非参考にしてみてください。